情報システム開発
弊社のシステム開発は、研究開発的要素の強いテーマを中心に展開しています。大学との連携や、総務省・経済産業省等の競争的資金の獲得により開発を行ったシステムが多数あります。開発されたシステムについては、お客様とご相談の上で可能な限り論文等にして関係学会で発表を行います。ですので、コスト競争が目的の入札案件には参加しません。お客様と一緒に、開発仕様を協議しながら進めて行くようなプロジェクトが多いのです。
しかしコスト競争を主眼とはしないとは言っても、最新の技術やオープンソースを活用し、また近年低価格化が進むクラウドサーバなどを用いて、開発コストの著しい低減を目指しています。
また、研究開発的なテーマを中心に取り組んでいますが、下記の開発実績にあるように、鉄道駅での情報配信や道路交通情報配信システムなど、安定稼働が必要とされる実用性の高いシステムも多数開発を行っています。
システム開発においては、お客様の真のニーズを掘り下げて検討すること、技術革新や利用者ニーズの変化に対応できるように柔軟なシステム構成としておくこと、さらに業務はカットオーバが目的ではなく、継続的な利用ができるように、最小コストと最小の手間で維持管理が行えるようにすることが大切だと考えています。
以下に弊社で取り組んできたプロジェクトの一部をご紹介いたします。
デジタルサイネージ -バス乗継情報システムー
弊社のデジタルサイネージへの取り組みは、2008年の「えきバスねっと。」から開始されました。NEDOや経済産業省、環境省などの競争的資金を活用しながら開発を進め、阪神尼崎駅、JR尼崎駅、JR伊丹駅などに設置を行いました。
この時期から普及しつつあったiPhoneなどのスマートフォンとの連携による情報配信などを意識したシステムでした。
翌2009年には兵庫県明石市の「明石駅都市情報提供システム」の事業コンペで選定され、「あかしiねっと。」の運営が開始されました。
その後、弊社が計画・設計を行った大阪府堺市のさかいコミュニティサイクルプロジェクトにおける残台数表示とバス乗継情報提供システムとして、堺市駅・堺東駅・堺駅に設置が行われました。
これらのシステムは、現在も特に大きなトラブルなく、運用が継続されています。
タッチパネル型デジタルサイネージ -駅等での交通情報の提供ー
2012年1月にJR茨木駅で、JR西日本コミュニケーションズ様等との共同研究として、タッチパネル式デジタルサイネージが設置されました。
駅の広告が徐々にデジタルサイネージに置き換わるだろうという予測に基づいて、2010年から研究開発を行い、当時の円高を背景に韓国のソウルコムテック社からサイネージ筐体とディスプレイを輸入し、自社開発の制御システムを搭載して実験を行ったものです。
JR西日本コミュニケーションズ様では、駅にある多種多様な掲示物を整理し美観向上を目指すとともに、交通情報を効率的に提供しつつ、情報閲覧のない時間帯には広告を掲出するという新しいビジネスモデルの成立を検証されることとなりました。
その後、茨木駅での安定稼働の実績をもとに、JR西日本様の多くの駅に展開されることとなりました。
また、店舗内情報掲示用としてもご発注をいただいております。
Wi-Fiパケットセンサー -簡単・低価格で設置できる新しい交通解析用センサーー
Wi-Fiパケットセンサー、通称AMPセンサー(Anonymous MacAddress Probeセンサー)は、スマートフォン等のWi-Fi機器が発するプローブリクエストパケットに含まれるMACアドレスを受信し、解析することで、滞在時間や移動速度、流動分布などを解析するものです。
2013年度、2014年度の総務省SCOPE事業に採択され、立命館大学・大阪電気通信大学・帝塚山大学と共同で研究開発を行いました。
プローブリクエストパケットは、Wi-Fi機器が接続する相手側の機器を探索するために発するパケットであり、ここには通信内容は含まれていません。また個人情報も含まれていませんが、外部情報と紐づけて個人の行動解析が行われないよう、受信したデータはハッシュ関数で匿名化処理を行い、個人情報保護・プライバシーへの配慮を行っています。
既に、ショッピングセンターの流動・滞留解析や高速道路、一般道路の旅行速度の分析、観光地の流動解析などで活用されています。
2015年度には、JICAの官民連携事業に採択され、ラオス国ビエンチャン市において、都市交通の解析システムとして導入を進めています。
バスロケーションシステム -ローコストで導入が簡単ー
車載端末に汎用のAndroidスマートフォンを利用し、クラウドサーバからすべての機能をコントロールする、低コストでシンプルなバスロケーションシステムです。
従来のバスロケーションシステムは、運行管理を主目的としたものが多い中で、本システムは地図上にバスの走行位置を表示し、利用者に運行路線ごとのバスの走行状況を簡単に提供することを目的としています。
このため導入コストが非常に安く、特別なカスタマイズを行わないのであれば、ローコストでかつ短期間にバスロケーションシステムの導入を行うことが可能です。
既に、神戸エリアを中心に運行されているみなと観光バス様、明石市のコミュニティバスであるたこバスなどで運用されています。
また、このシステムではバスの運行状況を1秒ごとに取得するため、バスプローブ情報を活用した道路交通の解析を行うことができます。
高速バスをはじめ、多くのバス事業者の方にご利用いただき、公共交通の利用促進につなげていくことができればと考えています。
なお、本システムはWi-Fiパケットセンサーと共に、JICAの官民連携事業に採択され、2015年度にはラオス国の首都ビエンチャン市において、55台の路線バスに導入を行います。
携帯電話による交通情報サービス -阪神高速8405の開発ー
出典:2007 ITSシンポジウム 提出論文より抜粋 (現時点のサービスとは異なっております)
弊社は、阪神高速道路様のモバイル交通情報サービスである「阪神高速 はしれGO!」の企画・設計から開発、運用の初期段階の支援業務を担当させていただきました。
現在は、システムのすべてを阪神高速技術(株)様に移管し、阪神高速グループで運用の継続とその後の継続開発を進めておられます。
このサービスは、高速道路を走行されるお客様の多くが、通勤や業務利用で日常的に、同じ時間に同じ区間を利用される傾向が高いことに着目し、高速道路を利用される直前の事前に登録した時間に、登録した区間の交通状況を携帯電話で配信することを目的としたサービスです。
道路事業の民営化が進む中、一方でETCの普及により料金所での手渡しの機会が減少し、お客様と直接、コミュニケーションを行う機会が減少することから、交通情報のメール配信という手段でお客様への適切な情報配信を目指す、という事業を開始されたものです。
弊社はこのサービスの企画と設計を2006年度に受託し、2007年度にシステムの構築を行い、同年度より2010年まで、システムの改修と運営支援業務を委託いただきました。